【武部理花コーチインタビュー】フレームワークやライフデザインの視点を使ったアプローチでキャリアに悩んでいる方をサポート
武部理花コーチは、半導体業界でのプロセスエンジニアや品質管理エンジニアとしてのバックグラウンドもお持ちのコーチです。
海外経験も豊富で、海外のビジネススクールでMBA(経営学修士)も取得し、現在はオーストラリアのボンド大学で、教授アシスタントとしても活躍しています。今回は、そんな武部コーチにお話を伺いました。

ビジネスコンサルティングからキャリアコーチングへ
コーチングを始めたきっかけを教えてください。
2019年にビジネススクールを修了したときに、キャリアに悩んでいる方や、経営や従業員の対応などに悩んでいる中小企業の経営者などの助けになれるような仕事をしていきたいと考えたんです。
そこで、NLPコーチングで資格を取得し、コーチとして独立しました。
それまで半導体関連の企業でマネジメントなども経験していたため、ビジネスに関するコンサルも単発でやっていましたが、ビジネススクールで学んだことを生かし切れていないという思いがありました。
そんな中で、トライアルとして転職を考えている方のコーチングも何度かやったのですが、なかなか評判がよく、自分自身もこれならできるのではないかなと思いました。
そこから、キャリアコーチングやライフコーチングで、転職に悩んでいる方や自分が本当にやりたい事が分からないという方のお手伝いを始めました。
2つのアプローチで問いかけて「やりたいこと」を見つけ出してもらう
コーチングするときは、どのようなアプローチをしていますか?
私は主に2つのアプローチでコーチングをしています。
1つは、キャリアプランを考えるときの「WILL・CAN・MUST」のフレームワークを使ったアプローチです。
「WILL」は自分のやりたいことです。「CAN」は資格や自分にできること。資格や経験などです。
「MUST」は英語の意味から、日本人にとっては義務感のように捉えられがちですが、ここでは自分の意思で何かをやろうとする「自分の使命」といえるものです。
例えば、おいしいお菓子を作るパティシエが、自分の作るお菓子でお客を幸せにしたいというのが、そのパティシエにとっての「MUST」になります。この3つの項目を使って、クライアントに問いかけていきます。
もう1つは、いわゆるスタンフォード流のキャリアデザインを参考にした、ライフデザインという視点からのアプローチです。
まず、仕事・遊び・交流関係・健康のほかに、今自分がどれだけエネルギーを使っているか、どのような活動をするとフロー状態(没頭した状態)になるかということについてご自身で考えていただきます。
そのなかで、自分が本当にやりたいことや楽しいこと、好きなことは何かを見つけてもらい、5年後・10年後に自分がやっていることをイメージしてもらう方法です。
クライアントが考えて決めることをサポートする伴走型のコーチング
クライアントさんの反応はいかがですか?
ご自身の中で自分のやりたいことを整理できて、優先すべきことが分かってくるようです。
例えば、事業を始めたいけれど何から手を付けてよいか分からないというときに、自分ができることとやらなければならないことが整理できて、優先順位をつけて進めて行けたという方もいます。
すでに結論は決まっていて、そこに至るまでのプロセスに優先順位を定めるために定期的にコーチングを受けている経営者の方もいます。
伴走型のサポートということでしょうか。
私自身、コーチングとはそういうものではないかと思っています。
何もない状態から何かを見つけるのではなく、やりたいことが決まっている方の手助けをするということですね。
やるべきことの優先順位を決めたい、自分が決めたことを誰かに背中を押してもらいたいという方に、「自分に寄り添ってくれている」と感じてもらえるのがコーチングではないかなと思います。
伴走はしますが方向を決めるのは走っているご本人で、私たちコーチは「そこに石が転がっていますよ」と時々声を掛けながら一緒に走るものだと考えています。
コーチングをする際に意識していることはありますか?
なるべく喋りすぎないようにしています。
答えを見つけ出すのはクライアントさんご自身で、私が見つけて差し上げるものではないんですね。ご自身が話すということを大事にしています。
ほかには、いろいろな考えの方がいらっしゃいますが、ご本人の考えを尊重するということです。その方の考え方を修正するのではなく、ご自分で決められるようにサポートすることを心がけています。

心理学のスキルも身に付けてさまざまな方の手助けをしたい
コーチングしていく上での今後の目標を教えてください。
コーチングのスキルだけでなく、もう少し心理学的な知識やスキルも欲しいと思っています。
心理士の資格を取得するまでは考えていませんが、例えば選択理論やアドラー心理学などについて学んでみたいです。
そういった知識を生かして、自分のコーチングの幅を広げていければと考えています。もっとスキルを上げて、私だからこそできるコーチングでいろいろな方の手助けをしていきたいですね。
今、コーチングのほかに、インターネットを使った特殊詐欺被害を受けた方をサポートするNPO法人も運営しています。
インターネットを介した詐欺は、犯人の姿が見えないため、実際にお金をだまし取られていない方でも精神的な打撃は大きいんです。
ですので、今後はそういう方が心の整理をつけられるような手助けをしていきたいとも考えています。
カウンセラーとは別に、私はコーチングで被害者の方が本来の自分を取り戻すためのサポートをできればと思っています。こちらは、心理学の知識を身に付けたら取り組んでいきたいです。
インタビュー後記
クライアント自身が考えを整理し、自ら描いている結論までたどり着けるような手助けをしている武部コーチ。「ついついしゃべりすぎてしまうんですが」とおっしゃっていましたが、後ろからそっと背中を押してくれるコーチングスタイルが伝わってくるようなインタビューでした。
自分のコーチングの幅を広げるために心理学を学びたいという言葉にも、静かな語り口の中にコーチングへの真摯な姿勢が感じられます。
コロナ禍ではあまり外出できなかったということですが、普段は旅行したりお友達と定期的にオンラインでミーティングしたりするそうで、アクティブな一面もうかがえました。
武部 理花
コーチページ:https://coaching-search.jp/manage/co-rtakebe/