あなたらしい未来を、迷いの中から見つけ出す。まだ知らない自分に出会えるコーチング【西田コーチインタビュー】

迷っている人の背中を押す。それは時に迷いを置き去りにして、目先のアクションに解決を求める応急処置になってしまうことがあります。本インタビューで紹介する西田コーチは、じっくりゆっくり、その人自身が迷いの中から一歩目を踏み出せるように、そしてそのときにそっと背中を支えられるように、そんな広くおおらかな視点を持つ方です。コーチングの他、執筆活動・コーチ研修など精力的な取り組みにどのようなルーツがあるのか、ご自身の経験も振り返りつつお話しいただきました。

西田コーチにコーチングへの想いをインタビューしました

1:不安を転換点に変えるコーチング

コーチング、執筆、幅広く活動をなさっている西田さん。まず、コーチングのクライアントにはどのような方が多いか教えてください。

売上の向上などの明確な目標がある方よりも、現状に対して言葉にならないモヤモヤを抱えている方や、このままでいいのかという迷いを感じている方が多いです。
今は「転換期をつくるコーチング」をキーワードにしていますが、何も「今を転換期にしたい!」という強い意志がなければならないとは思っていません。なんとなくモヤモヤする、何を変えたらいいのかわからない。そんな手探りの状態でも、ぜひご相談いただければと思っています。

実際にセッションを通して転換期を迎えた方達も、最初はそんなことは意識しておられず、3か月・半年と進めるうちに、結果的にあれが転換期だったと振り返られる方がほとんどなんです。悩みの先が見えているのなら、それはシンプルな目先の課題であり、転換ではありません。人はその先の景色がまだ見えてないからこそ、不安になるわけです。たとえば、ずっと学生で野球をやっていた方がプロに進む場合、これはステージは上がっていますが大元は変わりません。しかし、他のスポーツや、もしかしたらスポーツですらないものに挑戦するとなると、同じ線上で生きるよりも先が見えにくくなります。だから不安になります。でもこのままは嫌で、今までのことも含め洗いざらい考えたい。そんな状態の方がいらしてくれることが多いので、そこにゆっくりじっくり付き合うセッションを得意としています。

受講の頻度や期間は平均してどのくらいでしょうか。

今は最低3カ月で設定しており、月2回か3回ペースで、少なくとも6回は受けておられる方がほとんどです。
変化を感じられるタイミングは様々ですが、次に向かうとっかかりが見えて、気持ちが明るくなるというような変化は、最初の1・2セッションで感じていただけることが多いですね。そこからじっくり考える人は、3か月をしっかり使って模索していき、そこから1クールずつ追加される方もおられます。

一方で、あらかじめ自分なりに考えや選択肢が脳内に揃っている人は、3か月以内に状況が変わったとか、楽になったとか、早めに着地されることもあります。ただ、私はゆっくりじっくり派です。3ヶ月を最小単位にしているのは、今までと同じパターン、同じ「ゲーム」を繰り返しても面白くないからです。急いで答えを出そうとすると、人はどうしても今までの慣れた思考の延長線上で答えにたどり着こうとします。それは、一時的にうまくいったように感じても、また同じ悩みがぶり返してきます。だから、根本的なところから考えて現状を打破していくために、じっくり向き合えるだけの時間を確保させていただいています。「見えてきたぞ」と感じられるのが2、3ヶ月後でも決して遅くはありませんし、一度しっかり立ち止まって考えることにはより大きな価値があると思っています。

その中長期的なセッション運用は、活動当初からイメージしておられましたか。

いえ、過去には10回分のチケット制にしていたこともあります。しかしそれはやめました。困った時しか連絡してこない人が増えたからです。また、忙しくて気持ちが追い詰められている時ほど、周りに連絡をすることやSOSを出すことが苦手な方も少なくありませんでした。緊急度と重要度の両方が高いタイミングだけは連絡するけれど、緊急度の高くない長期計画や自己設計は後回しになりがちです。本来その長期計画こそが、腰を据えて安定して取り組んでほしい部分なのです。

もう1つ、たとえば人間関係で悩み始めた時、すぐに修正できればそんなに苦しくないのに、色々終わった後にこんなことがあって辛かったんですと話をしてくる人もいました。
このように、本人のタイミングに委ねすぎると、コーチングがうまく機能しないケースが多くありました。ですから、あえて仕組みとして一定ペースで受講していただく形に変えて、うまい使い方がわかってもらえたら、月1などに頻度を下げています。

すごく調子のいい時は「受けたいときに受ける」という形でもいいと思いますが、転換期に立つ人は繊細になりますし、混乱もしやすいものです。それにコーチングを受ける層にはビジネスやパフォーマンスとして傍目にはうまくいっている方も多く、今までのやり方には慣れている分「今のままでもやれてしまう」リスクがあります。深層の課題やもやもやから目を逸らそうと思えば逸らせてしまえるからこそ、意図的に今までとは違う、じっくり向き合う時間と環境を作ってあげる必要があります。

2: ゼロ円で海外へ行く!?著作に込めた思いと挑戦へのエール

次に、西田さんのご経歴について触れていきます。海外経験が豊富な西田さん、著作も『世界と繋がるゼロ円渡航術』と、とても興味深いタイトルです。

私はこれまでに世界40カ国以上を訪れていますが、そのうち32カ国は何かしらの形で他人のお金で行っているんです。他人のお金というと驚かれるかもしれませんが、たとえばカウンセラーとしてピースボートに参加したり、仕事のファシリテーターとして行くなど、ビジネスの経費で渡航しているという意味です。
次はここに行くんですと話すと、どうやって見つけたの?なんて羨ましがられることも少なくありません。しかし、わざわざそういった情報を探しているという意識はないんです。でもある時、海外に行きたいと言っているのに行けていない人たちと話していて「これをやればいいのに」と思うことがいろいろとあることに気付きました。そのことから、私が自然に拾っている海外にアクセスする情報や、そのチャンスが多くなる環境作りのコツがあって、それは私にしかない経験知であり、強みだったのだなと自覚したんです。それなら、そのコツを本にすれば海外に行きたいのに足踏みしている人の背中を押したり、誰かの人生を前に進める手伝いができたりするのではと考え、1年前に出版に至りました。

西田コーチの著書・世界と繋がるゼロ円渡航術

海外に行くことを薦める本ではなく、悩んでいる誰かの背中を押すための本なのですね。特にどういった層に向けて書かれたのでしょうか。

20代の学生さんや若手の社会人などをメインターゲットとして想定しています。
ピンポイントで「海外に行きたいけどどうすればいいんだろう」と思ってる人達のほか、もう少し幅を広げて、とにかく今のままでは嫌で何かを変えたいと思っている人に届けばと思っています。
40~50代の世代にとっては、海外に行っている人=特別な人というイメージがありますが、20代やもっと下の世代にとっては、海外の人と何かをすることはもはや当たり前になりました。社会はもう海外の言語や文化、協働の仕方を知っておかないといけない世の中になっています。ある程度選択肢のある生活がしたいのなら、そこを切り捨てることは難しいでしょう。しかし現実には、海外に行きたい/行かなきゃと言っていてもそこで止まっている人も多いはずです。そんな人の背を押したくて、この本を綴りました。その人が20代であろうが50代であろうが、海外であろうが、それ以外のチャレンジであろうが、この本を読んだことで絶対に人生が前に進む。そういう本になっていると思います。

フックとなる冒頭やタイトルは、「他人のお金で海外に行こう!」という書き方をしていますが、全体は自分の力でチャンスを掴んで明日の人生を変えていくためには何が大事かということを伝えています。

ご自身が海外で長く生活したことは、考え方や選択にどのような影響があったと考えられますか。

まず、私は海外に行ったことですごく救われたんです。
現代に生まれていたら、私は学習障害など何らかの発達に関わる診断を受けていた可能性が高いと思っています。実際に小学生の時、私の両親は「西田くんは特別支援学級に入れた方がいい」と言われていました。周りの人とうまくやっていくことが難しく、日本的な、普通でいなければいけないというプレッシャーに苦しさを感じていました。
しかし、留学した先で海外の仲間と出会うと、そこでは変な人扱いなんてされませんでした。お互いみんな違うから、日本だと「変だ」とされる部分が「当たり前の違い」として受け入れられて、初めて対等な人間として扱ってもらえたと感じました。
自分とは全く違う考え方や生き方をしている人たちが世界中にいて、自分も自分のままでいていいと思える体験ができたことが、海外生活で得た一番の糧だと感じています。

傾聴力で評判の良い西田コーチ。インタビューも和やかな雰囲気でした。

3:海外経験で得た、相手の違いと向き合う姿勢

「違うこと」への向き合い方は、今のコーチングにどのように繋がってきていますか。

コーチングで出会うクライアントさんのことは、基本的に私の想定外の相手だと思って向き合っています。考え方も違えば、人生経験も違う。そういった相手に私が知っている答えを教えてうまくいくならいいですが、私のところに来てくれる方の中には、教科書的なやり方はある程度試して理解した上で、より自分に合うやり方を見つけたいと思って訪ねてくださる方が少なくありません。
ですから常に、私もクライアントさんもまだ知らない答えを見つけたいと思っています。そのためには、目の前の人は自分とは違う人なのだと尊重する謙虚さや、多様性に対する想像力が必要です。それは私に海外経験があるからこそ考え至れる部分だと思っています。

コーチングの勉強をした方でも、同じような環境や集団の中でずっと生きてきた方と話すと窮屈だと感じることがあります。逆に傾聴のスキルがなくても、相手への想像力があるためとても楽しく話せる方もいます。
ありがたいことに、私は時々、これまでのコーチングよりもなんでも話せるとか、これまでは話せなかった、できなかった相談ができたと言っていただくことがあります。それは、私が目の前の人を自分の常識で判断しないように努めているからではないかと思います。

すごくわかります。西田さんとお話ししていると、フラットな状態で、抵抗なく言葉が出てきます。偏見や思い込みがない、「相手をジャッジしない」コミュニケーションに居心地の良さを感じます。

相手を自分の思考の枠にはめないこととあわせて、違いを感じること自体を面白がるのが得意でもあります。そうなんだ!と受け入れるタイプですし、「こうじゃなきゃいけない」とはあまり思いません。その人にとっては何が良いのだろうということに関心があります。「それを私が食べてもおいしいとは思わないけれど、あなたがおいしいと思うなら食べればいい」というスタンスで、その人が素敵だと思うことを大切にしたいですね。もちろん、明らかに強い毒が入っているときは気を付けてと声をかけますが(笑)。方向性を勝手に決めつけずに一緒に考えてくことこそが、コーチングという営みの面白さではないでしょうか。

お客様の中には、海外に行きたい方や海外経験がある方が多いのでしょうか。

そう多いわけではありません。海外志向の方が私の経歴を見て安心したとお声かけくださることはありますが、本人が海外に強い繋がりを感じている方の割合は特段多くはありません。海外経験の事実よりも、そこで培った考え方や、偏見がないフラットな状態で話を聞いてくれるといった部分を求めてきてくださっているのだと思っています。

何か具体的な壁がすでにあるというわけではなく、漠然とした不安に対してその人のゼロベースで未来を考えることがとても好きなんです。逆に言うと、「このビジネスで、営業部長として売り上げを上げたい」など、方向性が100%決まっていてシンプルに加速したいという目的の方には、ゴリゴリと焚きつけてくれる方など、他に合うコーチがいるのかなと思っています。
もちろんそういったご相談にも誠実に向き合わせていただきますが、今しっかりと立ち止まって考えたい方や、走りながらもこの方向でいいのか疑問を抱えている方など、そんな迷いの中におられる方には、より力になれると思っています。

最後に、コーチングの初学者や悩んでいる方に向けて新しく開発された「コーチングダイス® 」について、そこに込めた想いを教えてください。

「コーチングダイス® 」は、ゲーム感覚で本質的なコーチング力を養える実践ツールです。私の経験や考え方、手法をお伝えすることで、肩の力を抜いてその人らしいスタンスでコーチングに向き合えるよう、作りました。
 
コーチングダイス®公式HP
https://tomoni-inc.com/coaching-dice/

コーチングダイスの画像

もしコーチが楽に、心に負荷をかけないように取り組み、それでも上手くいくのなら、クライアントは「こんなに楽でも上手くいくのか!」という希望を感じます。もちろん、情熱的に頑張るのが最適な場合もあるので、時と場合に応じて使い分けは必要ですが、我々の生活の中でも高いハードルだと思い込んでいたことが、案外そうでもなかった、なんてことは多いのではないでしょうか。何かを解決しようとする過程で本当にやりたかったことが見つかったり、自分らしい進め方が見つかった時にそもそもの問題点に気付いたり。

一例ですが、結婚相手をみつけるためにダイエットをしなきゃと思っていたけれど、あなたみたいな人の方がいいですと言ってくれる人に出会ってしまえば、体型は全く問題なくなるわけです。一人で考えていると頭の中でぐるぐると堂々巡りしていた壁やプレッシャーが、コーチと話す中で新しい発見と共に取り払われれば面白いですよね。発見のプロセスに気づかせてやろうとか、導いてあげようという意味ではなく、クライアントさんが快適に考え、探求し、自分なりの答えにたどり着く場を一緒に作っていく側のプロが「コーチ」です。
コーチングの世界の言葉に「瞬間瞬間にダンスする」というものがあります。相手の状態や動きに寄り添いつつ、しかしただ話を聞くだけではなく、関係性の中でクリエイティブに、臨機応変に対応していく。その軽やかで楽しい感覚を、この「コーチングダイス® 」とプログラムを通じて身に着けてもらえれば嬉しいですね。自分らしく働けるコーチ仲間が増えて、より多くのクライアントの悩みや目標を解決して未来に推進していく、そんな輪が広がるようこれからも尽力していきます。

飾らない、ほっこりする包容力でやり取りをしてくださる西田コーチ。コーチを育てるフェーズでも活躍しておられる西田コーチを慕い信頼する仲間も多く、話すほどにその人柄に心がほどかれていくことをインタビューでも実感させていただきました。何かを変えたいというまだ手探りの想いに応え、あなたの中の未来を引き出してくれる西田コーチのセッションを、ぜひ体験してみてください。

この記事のコーチ

西田博明コーチ

現状を打破し、次のステージへ! モヤモヤは転換期のサインかも?私と一緒に乗り越えて、笑顔で前に進みましょう!