【高野慎吾コーチにインタビュー】コーチングビジネスで起業。夢を叶えるコーチングとは?

会社役員を辞めてコーチングビジネスで起業した高野コーチ。コーチになったきっかけや、高野コーチのセッションの軸である「夢を叶えるコーチング」について、またコーチを選ぶ際のポイントとなる視点などにも触れながら、コーチングとの出会い、考えをお話しいただきました。


1:コーチになったきっかけ

2:夢をかなえるコーチング

3:これから出会う方へ


1:コーチになったきっかけ

まず、コーチを目指したきっかけについて教えてください。

62歳まで、公的金融法人に長く務めていました。
自分で言うのもなんですが、順当に昇進し、本部長という責任を預かる立場になり、仕事にも打ち込んでいたのですが、還暦を前にして、漠然と定年後の将来設計を見つめなおすようになりました。

ちょうどその時期に本社ではなく関連会社の役員になるという挫折を味わったこともあり、今自分が立っているところ・目指すところを急に見失ったように感じたんです。
数年後に役職定年は来ても、人生に定年はありません。

これからも自分の強みを活かして、社会貢献できるものを見つけたいという強い思いがありつつも、手探りで過ごしていたところ、信頼する方からコーチングという仕事はどうか、とおすすめされたのが出会いのきっかけです。

それまで考えてもなかった分野でしたが、自分のビジネス経験やコミュニケーション力が役に立つと背中を押してもらい、コーチングスクールで学ぶことを決意しました。

そこから、本格的に仕事にしようと考えたのは何がポイントになりましたか?

スクールで学ぶ中には、生徒同士が互いにコーチングを実演して、相互フィードバックをする機会があります。

そこで「視点の鋭い質問をしてもらえた」「深く考えさせる問いかけは初めてだ」「思いを上手にとらえたフィードバックに感動した」といった意見をもらいました。
働く中で仕事の上での価値の提供をすることはあっても、生き方全般でこんな風に言ってもらう機会はなくて。

出世で挫折はしたけれど、これまでの人生で積み上げてきたものは『私の無形財産』として、他の人に役立つものだったと、そのときはじめて気づきました。

ビジネスの数字目標達成力ではなく、自分が歩んできた道のりやそこで得たもの自体を価値に感じて前向きに受け止めてもらったこの経験があったことで「コーチングは面白そうだ」と実感。

半年で資格を取り、その後、人生設計というサービスを体系化し、その1年半後、役員を辞めコーチングビジネスで独立することとなりました。

現在はどんなクライントさんが多いですか。

傾向に偏りはありません。
男女どちらもおられますし、新卒2~3年目の方から、役職を持っている方まで。
これから起業したいという方や、独立済みの方、そして企業経営者やお医者様もいます。

広く「働いている」という共通点はありますが、自分のコーチングは、全年代に共通する部分の普遍的な生き方、考え方を提供しているのかもしれません。

2:夢をかなえるコーチング

高野さんのコーチング、そのテーマとは?

相談者の夢やゴール、価値観を活用して、その方の人生やキャリアを作るプログラム、ということを念頭においています。

順にお話ししますと…、コーチングを仕事として動き始めてしばらくしたときに、とあるコーチングの限界に気付きました。

それは、コーチングはその人の中から答えを引き出す、つまりその人の中に答えがあるというのが前提ですが、やっぱり「ないものはない」「知らないことは知らない」のですよね。

具体的に言えば、私達の思考は、自分の使いうる言葉の範疇でしか広がりません。
自分の知らない言語や発想、文化、知識で何か考えろと言われても、知らないのだからそもそも思いつこうとしても無理なんです。

そこで私は、クライアントさんの言葉と自分が持っている言葉や知識、経験などをまぜて、クライアントさんにより多くの選択肢を提案するようにしています。

そして、その中で、本人が考え選べるようにする。選択肢の数を増やし、具体化していくところに、自分の経験と専門性が乗っかってきて「私のコーチング」というオリジナリティになる。

ひとりひとりに寄り添った提案を届けるというのが意識しているポイントです。
また、クライアントさんが考え選ぶことで、その主体性も守られます。

提案をする中で、相手をどんな風に分析していくのでしょう。

話を聞く際には、どんな価値観を大事にしているのかということを最も重視しています。

その中で相談者の将来にとって効果的ではない価値観(思い込みや先入観)は、将来に効果が生まれる価値観に変える。

それから、ブレーキをはずすと表現していますが、公私に気がかりになっているものや、不安なものを取り除く、心の断捨離を行います。

常にアクセルを踏み続けるのはしんどいですが、ブレーキになっているものを取り除けば、アクセルを踏まなくても前に進みますよね。
そうして状況をフラットにして、そこからは夢を見つけることを大切にしています。

具体的に、夢を見つけるとはどういうことでしょうか。

夢と聞くと、多くの人は「大きくて」「叶えるべきで」「大層なもの」をイメージすると思います。

でも実際は、夢って大きくなくて良いんです。大小に関係なく、その人の小さな願望をみつけて、ひとつひとつ叶えていくことの方が大切です。

たとえば、「素敵な食器が欲しいなぁ」という日常的な夢を持ったとします。
そうすると、食器について検索したり、実際に店を訪ねたりしますよね。

そこで、今はこんなのがはやってるんだなとか、価格帯はこんな感じなんだなとか、ブランドA/Bはこう違うのだなとか、新しい知識を得ますよね。

夢を叶えるまでのプロセスで、すでに手に入れるものがあるんです。

そうやって小さい夢を10個20個と叶えていくと、その道すがら、新しい気づきや発見、経験を積み重ねていくことになります。

ふと気が付くと、それがその人の無形財産となって、小さな夢を叶えていく前の自分よりも、素敵な自分になっている。
その結果、大きな目標にもチャレンジできるようになる。これが夢を持つ意味だと思うんです。

なるほど。夢を叶える過程で身についていくものが、成長だということですね。

そうです。叶えるということに焦点を当てすぎると疲れてしまいますから。
そのプロセスで手に入るもので自分を成長させ続けられることは素敵なことですよね。

コーチングの中では、その人の願望を形にした後は、それを叶えるために自分の時間をどう使って行くかという「タイムマネジメント」も行います。

なぜなら、時間の使い方を記したものが、その人の人生そのものですから、「タイムマネジメント」は、その人の人生の在り方に直結します。

そうして道が描けたら、自分が自分の一番の応援団になる、自分との向き合い方を一緒に考え、伝えて。
いわゆる「人生を好転させるセルフイメージ」を作り上げる。これがプログラムの大きな流れです。

自分自身定年を前にして実感したのですが、普通に生きていると、目標って外側が作ってくれているんですよね。
幼いころからは学校や親が、会社に入ると会社がいつも目標をくれました。
そして、与えらることに慣れた人は、定年後、与えてくれる人や組織がなくなると途方に暮れ、しおれてしまいます。
定年後の男性に元気がないのはこれが原因です。

なので、自分の夢を自分の未来において、「成果」と「成長」をダブルで追える人を増やすお手伝いをしたいですね。

実際に、コーチングをした方で印象的な方はおられますか?

2人ご紹介しますと、1人は50代の女性で、上場会社の部長をされていた方。

ずっとエリートでがんばってきた中で、ある日それまで牽引してきた部署が社からアウトソーシングされることとなってしまって、これからのやりがいやキャリア形成をどうしたらいいかというテーマでご相談をいただきました。
これまでの道が途絶えたようで、将来に向けて漠然とした不安をお持ちでした。

そこで、過去のキャリアの棚卸しや、心の断捨離を行っていった中で、この方は自分自身もコーチになりたい、と興味をもってくれたんです。

自分のリーダーシップや培ってきたコミュニケーション能力を活かしてみたいと思い、コーチングスクールに入られました。

そうやってアクティブに動かれた中で、高い実務能力と周囲を活かすリーダーシップ能力を買われ、他社で新規部署の立ち上げのヘッドハントをされたんです。
元々打ち込んでおられた分野でのご縁だったそうで、副業としてコーチもやりながら、今はそこで活躍しておられます。

潜在的にコーチングに興味がある人は一定数いると思いますが、実際にコーチングを体験して魅力に感じてもらえたというのは嬉しい出会いでした。

もう1人は、私が7年前に独立してから今日までずっとクライアントの方です。
2週間に一度、日常会話をしながら、自身の人生を棚卸しできる場として使ってくださっています。

その方は関西の女性なのですが、自分とは環境が遠い、関東の男性という視点で、自分にはないものの見方をする私を選んだそうです。

日常にはない刺激的な環境を求めて出会ってくれ、日々の出来事の受け止め方の違いや発想の違いを、意図的に外部から得る機会として活用されているが印象的です。

長いお付き合いになったこともあり、コーチングというより、対話のキャッチボールやその方の心を整えている感覚です。

3:これから出会う方へ

他のコーチとご自身の違いは、ずばりなんだと考えますか。

特徴は3つあります。

1つは、人生全体のキャリアや生き方を考えるコーチングが得意だということ。

2つ目は、組織の成果と部下の成長を促すリーダーシップコミュニケーションを伝えられること。経営者や中間管理職の方が対象です。

3つ目は、広くメンターコーチとしての役割です。
自分に自信がない、いつも迷ってばかりで決断ができない、人間関係が苦手だなど、その人が抱えている人生のテーマ全体に対して、選択肢を提案できることが強みです。
これがクライアントの幅の広さに繋がっていると思います。

初めてコーチングを依頼するとき、何を基準にコーチを選ぶのが良いでしょうか。

「人格」「人柄」が一番だと思います。

私自身も、今でもマイコーチを置くようにしており、その方から、コーチングのスキルはもちろんですが、新しい視点や考え方を取り入れるために、1年ごとに新しい方を選んでいます。

今は目標がありまして、ハーバード大学の教授で哲学者で倫理学者のマイケル・サンデル氏のような答えのない人生の課題について、ディスカッションするときのファシリテータになりたいと考えているんです。

そして、大学で、非常勤講師として単体のゼミを持ちたいです。
ですから、そういう経験がある人を探しているところです。

そんなとき大切なのが、マイコーチの人格です。
どれだけ知識やスキルや経験があっても、そのコーチの生き方、考え方、人となりが尊敬でき、自分を大きな人間力で受容し、可能性を信じてくれないと、効果的なコーチングは行われません。

なので、迷ったときは、会ってみたときに感じたコーチ候補の人格や人柄で選ぶのがいいでしょう。
人格もまた、その人の行動や経験や価値観に裏付けられているものですから、そこがしっくりくれば、このコーチと一緒に進みたいとなるはずです。


ご自身の豊かなキャリアを土台にしつつ、コーチを受ける相手ひとりひとりに寄り添う温かさが言葉の端々にあふれておられる高野さん。

「小さな夢を叶えていく道のりに成長がある」というメッセージが印象的なお話しでした。

ちなみに、ご本人の今の「夢」は元々好きだったお城の天守閣を、全国を回って見てみたい、とのこと。
家族旅行もかねて、写真を撮ったりドライブをしたり。旅する日々を描かれていました。

穏やかな会話の中で、心の断捨離をしながら、セルフイメージを高め、あなたの中にある夢や目標をじっくりと拾いあげていきましょう。

高野慎吾
コーチページ:https://coaching-search.jp/manage/co-stakano/