【和気コーチインタビュー!】小さな目標を重ねる

コーチングに、「目標達成・成果」といったワードをイメージされている方は、今回ご紹介する和気香子コーチのお話を聞くと、がらっと印象が変わることでしょう。

「頑張れないときは無理をしなくてもいいじゃない」という言葉にふっと肩の力が抜ける。

そしてそこからまた次の一歩を踏み出せる。そんな人間味あふれるセッションと、コーチ自身が窮屈だった自分から抜け出して今の在り方・考え方にたどり着かれた経緯を振りかえっていただきました。

和気香子コーチ

1:コーチになったきっかけ

2:目標達成だけではない、心に沿ったコーチング

3:これからの展望


1:コーチになったきっかけ

まず、コーチを目指したきっかけについて教えてください。

自分自身を変えたいと思ったからです。
当時勤めていた会社で、プレイヤーとしてはある程度の結果が出せていたんですけれど、役職が上がると当然、自分で方向性を決めて売り上げをどう作るかを考えていく場面に向き合うことになります。それが、うまくできなかったんです。

それまでは「言われたことをきっちりこなす」スタイルでやってきたから、いざ自分で考えるとなると、何をどう頑張ったらいいのかもわからなくて。原因もつかめず、なんだかうまくいかないな…という感覚でした。

まず自分の努力が足りないのか?と考えて、でも努力の方向性がわからなくて。そうなると今度は人からの評価を気にしすぎるようになり、上からも下からも何か言われたり迷惑をかけたりしているのではないかと疑心暗鬼状態で、かなりネガティブな心境になってしまっていました。

カウンセラーをしている友達が心配してくれ、会社に状況を伝え、チームにもフォローしてもらいながら働いてはいたのですが、そうして過ごすうちに、これは環境や状況のせいではなく、自分の考え方の問題だと自覚したんです。

それまでも、人の評価を気にしすぎる、自分を責めすぎるという傾向があることにはうっすら気づいていたんですけど、このときに自分を変えねばと強く感じました。

そこで調べて見つけたのが、まずはセラピーでした。セッションを受けてみて、こういうのって私以外にも求めている人がいるはずと思い、トレーニングを始めました。

そこから、コーチングに舵を切り替えた経緯や理由をお聞かせください。

ひとつは、孤独を感じやすい職業の方。会社の経営者や、フリーランスとして個人でがんばっている方などですね。組織において最終的な判断を自分でしなければならないからこそ、外にコーチを求めていらっしゃいます。

たとえば人間関係をどうモチベートするかとか、どうやって業績を上げるかとか。どちらかといえば、人間関係のご相談の方が多いです。
ビジネスのことだったらどんどん考えて手を打てるんだけど、人が関わってくると理屈ではいかないというか、相手が自分の期待通りに動くとは限らないですし、価値観やパーソナリティがいろいろな人がいる中で、正論だけでは人は動きませんよね。

そこをどうやって、相手がしっかり腹落ちした状態で前進できるように上司としてマネジメントしたりコミュニケーションを取ったりしていけばよいのかというのを一緒に探していきます。

また、自分自身のモチベーションをいかに良い状態に保つかというご相談もあります。感情にでこぼこがあったとしても、低い時でもある程度良い状態でいられるためにどうしたらよいか、といったようなご相談です。
 
また別で、次期経営者や次期役職者の方は、会社から要請されてセッションを受けに来る方もいます。次のステージへの成長を狙った意図で、受けておいで、と訪ねて来られます。こちらもセッションでは1か月を振り返りつつ、各々の今ある課題に取り組んでいきます。

コーチングの様子のイメージ

2:目標達成だけではない、心に沿ったコーチング

モチベーションという言葉が何度か出てきますが、モチベーションを上げるためにどんなコーチングを行われるのですか?

逆説的ですが、「人間だから波はある、モチベーションを無理にあげなくてもいいんじゃない?」っていうところからスタートします。

無理をしようとしてもしんどくなるだけですし、人間なんですから気分が乗らない日や何かの原因で落ちこんでしまう期間だってありますよね。

そこから、今日できる小さいことをまず考えましょう、というのはよくやります。
これは自己肯定感をあげるということが目的のひとつです。小さいことって大切なんですよね。

もちろん大きい目標はあってもいいんですが、そのゴールまでには小さいステップが絶対にあって、無理なくできる目標を設定することがとても大事だと考えています。

大きい目標を立てて完璧にできなかったときって「ああ、できなかった」「無理だった」みたいな嫌な気持ちばかりが残ってしまいませんか?

たとえば夏休みの宿題も、初日に全部終わらせよう!と思ってできなかったら、失敗体験になります。
でも、「とにかく1ページ開いてみる」ぐらいなら、やれそうですよね。寝る前にちょっと開いて、少しだけ手を付けられたりなんかして。小さくとも目標をクリアできたら気持ちよく寝れます。
そうしたら、明日を少しでも明るく迎えられると思うんです。

印象的なクライアントさんはおられますか?

コーチングの中でも、セラピー的なアプローチをした方もいました。

その方は、何かをやる前に、不安や恐怖が湧いてくるんですと悩んでらっしゃいました。やってしまえば大丈夫なのに…、と。

そういう心理状況になるのって過去の体験や記憶に原因があることが多いのですが、その方にはポジションチェンジというワークをやってもらいました。
最近の不安になったことを具体的に思い出してもらって、それから、同じ感情を持った一番古い記憶も思い出してもらうんです。

すると、二十歳ぐらいのときの人間関係で「勇気を出して頼みごとをしたのに冷たく拒絶された」というエピソードが出てきました。

じゃあ、そのときの自分に今の自分からメッセージをあげてくださいってお伝えします。「心配しなくていいんだよ」「見てくれている人はいるよ」と声をかけてもらって、それを当時の自分の気持ちになって、自分自身で受け止める。そういうワークです。
そのプロセスを経験することで、これから同じような状況があったとき、少しは楽になるんじゃないかなって思います。

大きな感情を伴う経験は、行動に影響を与えると言われています。この方も、依頼を拒絶された経験から、何か動こうとしたときに無意識にまたうまくいかないのではないのか、冷たい反応をされるのではないかという不安や恐怖が生まれていました。
当時の感情にアプローチしていくことでこの抵抗を緩めていきます。

どちらかというとセラピー寄りのアプローチですが、この方のときは、こういうセッションを行いました。相談した方にとっても、自分の感情の動きが枷になっている感覚があったんじゃないでしょうか。

だから、ここを乗り越えられれば、コーチングの中で求めている成果に対しても大きく羽ばたくチャンスになると感じられたのだと思います。

前向きな心境でないときでも、セラピーの要素とバランスを見てくださる和気さんのコーチングは、どんなときでもコーチしてもらえるという安心感がありますね。

当たり前というと変ですが、意図的にそうしていたわけではないので…そう言っていただけて、そうなんだ、と今気づきました。

でも確かに、コーチングが前向きすぎると、しんどいときは余計つらいんですよね。わかります。私自身もコーチングを受けていたときに、「今日はちょっとそういう気分になれないんです」とセッションを休んだときもありましたから。

バランスだと思いますが、前のめりにセッションができるときは前のめりに、そうでないときはそのときの心境や状況にあった形で、柔軟にやっていってもいいのだと思います。

コーチングの様子のイメージ

3:これからの展望

和気コーチの今後の展望や目標を教えてください。

1つ目はリーダー育成のプログラムを進めていきたいです。

現在、コーチではなく知識を授けた上で考えてもらうケーススタディをメインでやっている方とタッグを組んで、リーダー育成のプログラムを実施しています。私は内発的なところを支え、相方の方は知識やロジックで育成を進めていく形です。
まずはその成果をきっちり出して、拡大させていきたいです。

もう1つは、アクティングコーチ養成講座を修了させ認定コーチになること。

講座はあと1年くらいだと思いますのでしっかり修了し、その先に演技に特化したコーチングをしていきたいと構想しています。

今受けている講座も普段のセッションにも役に立っています。演技もコミュニケーションなんです。心理的にブロック状態だと全然しっくりこないし、相手の話を聞かなかったり壁を作ったりしていると、違和感がある。
だからアクティングコーチとして学ぶことは基本のコーチングにも応用できます。

この講座がなかなか日程的にも内容のボリューム的にハードで…。自分のセッションのスケジュールもありつつ、忙しくしているところです。
ただ、全体としては楽しくやっています!やりきったときの達成感も楽しみですね。

前向きにいられるときも、少し立ち止まってしまうときでも変わらず受け止めてくれる和気コーチ。波のある心のバランスを見て、柔軟に対応してくださる、頼もしくもしなやかな大樹のような温かさが印象的でした。

アクティングコーチや役者としてのご経歴も目を引く和気さんならではの要素ではありますが、何よりご自身の悩みを乗り越える中で豊かに育まれた包容力が根底の魅力であるように感じました。

コーチングは目的達成という強い意志の元にも有効ですが、それだけではなく、どんな人の弱さにも、あるいは小さな課題や目標にとっても、灯台の光となってくれるものなのです。

和気 香子
コーチページ:https://coaching-search.jp/manage/co-waki/