忙しさの中で、自分を見失わないために【山本 和宏コーチ】

――マインドフルネスとコーチング
責任ある立場で仕事をしていると、上司や部下、顧客、組織のことを考える時間は多くても、自分自身に目を向ける時間は少なくなりがちです。
次の判断、次の会議、次の課題。目の前のことに対応するうちに、一日が終わる。
「自分はどうしたいのだろう」
「この働き方を、これからも続けたいのだろうか」
そんな問いが浮かんでも、考えるのはまた今度。そうした日々に心当たりはないでしょうか。
私がコーチングの土台として大切にしているのが、マインドフルネスです。
今の自分に気づく時間
マインドフルネスとは、今この瞬間の経験に、良い・悪いとすぐに判断せず、注意を向けることです。
たとえば、会議の前に、身体の緊張に気づく。
相手の言葉を聞いたとき、自分の中に焦りや苛立ちが生まれていることに気づく。
「失敗してはいけない」という考えが繰り返し浮かんでいることに気づく。
気づいたからといって、その感情や考えを消す必要はありません。
まずは「今、自分にはこういうことが起きている」と確かめます。
私は、この時間を大切にしています。
自分の状態に気づくことが、いつもの反応を少し立ち止まって見つめ、どう応じるかを選ぶきっかけになると考えているからです。
忙しいときほど、自分の感覚は後回しになります。
だからこそ、短い時間でも、自分に注意を向ける意味があります。
気づいたことを、対話で探る
コーチングでは、その気づきを手がかりに、対話を進めていきます。
「何に焦っているのだろう」
「その場面で、自分は何を守ろうとしていたのだろう」
「本当は、どんな関わり方をしたかったのだろう」
たとえば、部下に仕事を任せたいと思いながら、つい細かく口を出してしまうとします。
その場で生まれる不安に気づき、対話で探ってみると、成果への責任感や、部下を困らせたくない気持ちが見えてくるかもしれません。
そこから、「責任を果たしながら、相手に任せるにはどうするか」を考える。
次の機会に試すことを、自分で選んでいく。
マインドフルネスで今の経験に気づき、コーチングでその意味や大切にしたいことを探る。
そして、日常での一歩につなげる。私は、このつながりを大切にしています。
納得できる選択に向けて

二つを組み合わせることで、私が目指しているのは、自分の状態や価値観を確かめながら、納得できる選択をしていくことです。
周囲の期待に応えようとする自分も、疲れている自分も、変化を望む自分もいる。
その一つひとつに目を向けることで、これからの仕事や人との関わり方を考える手がかりが生まれるかもしれません。
セッションでは、ご本人の希望に応じて、短く呼吸や身体の感覚に注意を向ける時間を持つこともあります。
うまく瞑想することを目指す必要はありません。そのときの自分を確かめるところから始めます。
責任ある立場だからこそ、自分自身のために立ち止まる時間を。
これまで大切にしてきたことを確かめながら、これからの一歩を一緒に探っていきたいと思っています。
この記事のコーチは

山本 和宏コーチ
管理職・リーダーの仕事、人間関係、キャリアの悩みに。20年以上の管理職経験とマインドフルネスを土台に、立ち止まり、考えを整理し、納得できる次の一歩を一緒に見つけます。

