「その人の可能性を信じること」が原点。製薬会社の人事20年が気づいた、コーチングという天職【山本知子コーチ インタビュー】
製薬会社の人事部門で20年以上キャリアを積み、人員整理に関わる経験をもつ山本知子コーチ。コーチングに出会い、「これだ」と感じたという背景には、仕事でも家庭でも「逃げられない」関係性の中でもがき続けた経験がありました。
コーチングを受ける人に対して「自分の可能性を信じて」と語る山本コーチに、コーチングへの想いや自身のスタイルについて聞きました。

人事の仕事で見えた「その先」への想い
コーチを目指すことを決めたきっかけを教えてください。
自分の中に「このまま人事の仕事を65歳まで続けられるだろうか」という不安があったんです。テクノロジーがはどんどん発達するし、グローバル環境の中でどこまでやっていけるのかなって。
まだまだ現役で働けることを考えて「これからの10年、何がしたいんだろう」と、ちゃんと整理してみたいと思い、セカンドキャリア塾に入って棚卸しをしたんですね。その中で見えてきたのが、「『誰にでも居場所がある』ことを伝えたい」という思いでした。
その後、友人の縁でたまたまコーチの方々と出会う機会があり、「コーチってこういう仕事なんだ」と興味が湧き、すぐに勉強を申し込んだんです(笑)。
会社を辞めてコーチになると決断した背景を教えてください。
仕事を続けながらコーチングについて勉強しているうちに、「私がこれからやりたいのはこれだ」という気持ちになっていきました。
製薬会社で働いていた期間の後半の10年間は、人に辞めていただく仕事が多かったんです。
「会社の価値観では評価されなくても、この人にはもっと輝ける場所が絶対あるのに」と思いながら、それまでお世話になった方、バリバリと働いていた人たちに引導を渡すような仕事をずっと続けていました。
コーチングの勉強をする中で、自分の心に「会社の価値観から離れて、個人の方を支援したい」という気持ちがずっとあったことに気がついたんです。
連れ子との葛藤が教えてくれた「可能性を信じる」ということ
コーチングへの想いの背景に、ご家族との経験もあるとうかがいました。
実は結婚した当時、夫には2歳の連れ子がいたんです。私としては、前妻への嫉妬もありましたし複雑な気持ちでしたが、それでも育てなければいけないという責任感で必死に向き合っていました。
親だから「水泳を習わせた方がいい」とか、「この服を着なさい」とか、本人が幸せになるために…と思ってやっていましたが、今思えば勝手な価値観を押し付けていたんですよね。
そんな私に子供は反発する。あるとき、子供が夜中に家を出ていったことがあって。
それは大変でしたね……。
でも今思えば、それは命がけで「僕には僕の気持ちがある」と教えてくれていたんだなと。コーチングを勉強して「その人の可能性の最大化」「相手を信じる」という考え方を知ったとき、すごくグッとつながったんです。「私は本当に彼の可能性を信じていなかった」と。そこで深く気づいて、これから先はここで学んだことを還元していきたいと思いました。
人はそれぞれ、自分が思っていることや可能性をちゃんと伸ばしていく権利があるし、尊重されるべきだということを教えてもらいました。この子育てで得られた経験と、会社での人事の経験の両方を活かせるのがコーチングだって思えたんです。
「セカンドキャリアの悩み」が、実は「今の自分のプライド」だった
印象に残っているセッションはありますか?
そうですね、セカンドキャリアについてモヤモヤしているとおっしゃっていたクライアントさんがいたんです。話を聞いていると、何年後に辞めて、辞めた後はこうしてこうして……って、割とすらすら出てくる。「あれ、セカンドキャリア決まってますよね?」と聞いたら「実は……」と。
本人がモヤモヤしていたのは、セカンドキャリアではなく「今の自分の居心地の悪さ」だったんです。定年まであと少しの期間を、消化試合のように終わろうとしていたけど、それが自分でも嫌だと思っていらしたんです。
それはどう展開していったんですか?
セッションを通じて、進化するテクノロジーなど自分が苦手なことやわからないことがあっても、プライドが邪魔をして一歩踏み出せずスルーしようとしている状態にモヤモヤしたものを感じていることがわかったんです。
そして「最後の1年、若者に教えを請おう」という結論にたどり着いたんです。すると、クライアントさんご本人から「若者に教えを請えるおじさんってかっこいいですよね」という言葉が出てきたんです。ご本人も、自分から出てきたその言葉に驚かれていました。最終的には、誰に、いつ聞くかという具体的なアクションまで組み立て、晴れ晴れとした表情でセッションを終えられました。
コーチングって、相手の方から全然違う話が出てきて、そこに本当の課題があったりする。それが面白いなと思いますね。

「鏡」ではなく「水晶」のような存在でありたい
山本コーチ自身が大切にしているスタイルを教えてください。
まだまだ発展途上なので(笑)、自分の「特徴」というよりは、ちゃんと話を聞けて、向き合えるコーチになるために、凸凹を消している段階だと思っています。コーチが鏡になるとよく言われますが、私は「水晶」のようなイメージを持っています。
水晶、ですか?
透明で凸凹がなくて、でもちゃんと弾き返せる。ご本人が言ったことが、私を通して「自分こんなこと言ったんだ」と角度を変えずに返ってくるような感じ。鏡だと少し平らで冷たい印象があるけど、水晶は透き通っていながら、あらゆる角度から弾き返せる。そんなコーチでありたいと思っています。
そのためにも、自分自身を整えておくことをとても大切にしています。私自身も今もコーチについていただいているんです。自己基盤を整えておかないとクライアントさんの話がちゃんと聞けないですし、自分の気持ちがちょっとでもずれていると伝わってしまうんですよね。
「結婚するかどうか」から一緒に考える、婚活コーチング
婚活コーチングにも力を入れていらっしゃるとか。
結婚こそ、自分の価値観と向き合う大事な節目だと思っていて。私自身、29歳の頃に「結婚しなければいけない」と思い込んで、お見合いや結婚相談所をぐるぐると……気づいたら一年近く時間と感情を使っていました(笑)。今思うともったいなかったですね。本当に何がしたいか、何を大切にしているかをちゃんと知っていれば、もっと違う使い方ができた時間だったと思います。
結婚ありきではない、ということですね。
そうです。結婚相談所に行くと、どうしても「結婚させること」がゴールになってしまいますよね。友人や家族に相談すれば、経験談や余計なひと言が入ってくることも多い。そのままフラットな立場で話を聞いてくれる人ってなかなかいない。
「今、本当に結婚したいのか」「どんな人生を選びたいのか」というところからまっすぐ向き合える場所として、コーチングは婚活の節目にフィットすると思っています。
「そのままで来てほしい」— 未来のクライアントへ
コーチングを検討している方へメッセージをお願いします。
まず、自分の可能性を信じてほしいと思います。ただ、何者かじゃなきゃダメだとは思わないでほしくて。そのままで来てほしいんです。「こういうことにモヤモヤしている」「理由はわからないけれどモヤモヤしている」などどのような状態でも大丈夫なので、一緒にお話しできればと思っています。
コーチングというと、「こうなりたい!という明確な目標がある人が来る場所」というイメージを持っている方が多いと思います。でも実際そんな状態の人は少ないんですよ。
自分をいつも信じていられる人なんてそんなにいないから。だから、そうじゃなくても全然いい。私と一緒に、自分を信じていきましょう。
山本知子コーチのコーチングへの想いは、会社員時代の葛藤と、家庭での深い試行錯誤という、どちらも「逃げられない」現場から生まれたものでした。「その人の可能性を信じる」という姿勢は、言葉だけでなく、ご自身の痛みを通じて培われたものです。
製薬会社で1,300人以上の面接に携わった人事のプロとしての視点と、「水晶のような透明で凸凹のないコーチ」を目指す姿勢は、40〜50代のセカンドキャリアや、人生の節目となる婚活・転機を迎えている方に特にフィットするのではないでしょうか。「何を悩んでいるかもわからない」という状態からでも歓迎してくれる、そんな山本コーチの姿勢は、一歩踏み出すための安心感になるはずです。
この記事のコーチは

山本 知子コーチ
セカンドキャリア、転職、部下との関係、結婚――
迷いが生まれるのは、大切にしているものがあるからです。
あなたの想いを丁寧に言葉にし、
自分で納得できる答えにたどり着けるよう、
安心して考えられる対話を重ねていきます。

